ナトリウム

ナトリウムの主な効果は、体液の浸透圧を維持すること、神経伝達や筋収縮を助けることです。一般的に「神経の刺激伝達に働く」などと言われています。

また、ナトリウムは体液のアルカリ性を保ち、ブドウ糖などの腸管吸収、カルシウムなどの細胞膜浸透に関与します。

ナトリウムは所要量を摂取する栄養素というより、むしろ過剰摂取に注意するべき栄養素です。ナトリウムの慢性的な多量摂取が高血圧や胃がん、鼻咽喉がんなどに関係するという内容が多数報告されています。

そのため、日本人の食事摂取基準ではナトリウムの摂取量が一定を超えないようにとの数値設定(食塩相当量に換算した18~69歳の平均値は男性で9g未満、女性で7.5g未満)をしています。


ナトリウムの過剰摂取で高血圧になるしくみを以下に解説します。

細胞外液ではナトリウムの濃度が高く、細胞内液ではカリウムの濃度が高く、ナトリウムとカリウムは体液の浸透圧に関係しています。これらナトリウムとカリウムの細胞内外の浸透圧が等しくバランスしているため、細胞は正常な機能を維持できます。

ナトリウムの摂取量が多すぎる、または腎臓の機能が低下している場合、細胞外液のナトリウム濃度が上昇します。濃くなったナトリウム濃度を下げるために(のどが渇くから水を飲むなどして)体内に入る水によって血液量が増え、血管内の圧力が上昇します。これがナトリウムの摂取過剰で高血圧になるしくみです。

現代社会ではナトリウムの摂取過剰が問題になっていますが、その一方で、古代の人類は逆にカリウムが摂取過剰になるような食生活を行っていました。この理由により、人の体はナトリウムを保持し、カリウムを排泄するようなしくみになっています。

ナトリウムもカリウムも腎臓の糸球体でろ過されますが、ナトリウムのほとんどは再吸収されます。しかし、カリウムにはナトリウムの再吸収を抑制する働きがあり、カリウムを摂取すると体外へナトリウムが排出される量が増えるのはこのためです。

高血圧を予防するためには、ナトリウムの摂取量を減らしてカリウムの摂取量を増やす必要があります。


ナトリウムとカリウムの摂取比率が高血圧に関係するのは、上記の理由によります。アメリカにおける2002年の食事勧告では、高血圧を予防するためにナトリウムを制限してカリウムを補給するべきだとされています。

アメリカ高血圧合同委員会(第7次報告)、WHO/国際高血圧学会ガイドラインでは、高血圧の予防と治療のための指針として、個人レベルの食塩摂取量として6g/日未満を勧めています。また、日本高血圧学会ガイドラインでも食塩摂取量として6g/日未満を勧めています。

食塩6gはナトリウム量に換算すると2362㎎になります。研究によれば、このレベルの食塩摂取量であれば血圧を下げる効果があると認められています。しかし一方で、日本人の現在の食生活では食塩摂取量が6g/日未満と比べて隔たりが大きく、この数値の達成は困難だと考えられています。

そこで、日本人の食事摂取基準で設定されたのが、食塩相当量としての目標量(18~69歳の平均値は男性で9g未満、女性で7.5g未満)です。

その一方で、高血圧の一次予防を積極的に進める観点から日本人の食事摂取基準で設定されたカリウムの目標量は、男性で2915mg、女性で2854mg(18~69歳の平均値)です。さらに、アメリカ高血圧合同委員会第6次報告では、高血圧予防のために、カリウムを3500mg/日摂取することが望ましいとしています。

日本人の食事摂取基準で設定されたカリウムの目標量は、現在の日本人成人のカリウム摂取量から考えて3500mg/日摂取することが困難であることを考慮した数値です。可能であれば「血圧を中心とした生活習慣病の一次予防を積極的に進める観点からは、この値(アメリカ高血圧合同委員会第6次報告の3500mg/日の数値)が支持される」としています。

食塩相当量として設定された目標量でも、日本高血圧学会ガイドラインなどで勧めている6g/日未満よりはかなり多いため、カリウムを積極的に摂取してナトリウムを体外へ排出させる観点が重要です。

ナトリウムとカリウムの摂取比率に関して、食塩摂取量を減らすのが難しいならその分だけカリウムの摂取量を増やすなどして、今よりカリウムの摂取比率を上げるようにしていく必要があります。


ナトリウムの数値を食塩換算するには、次の計算式を用いて計算します。

・ナトリウム(mg)×2.54÷1,000=食塩相当量(g)


ナトリウム(食塩相当量)の1日当たりの所要量(18~69歳の所要量の平均値)。

・男性…9g未満
・女性…7.5g未満
・男女平均…8.25g未満


(年齢…男性の所要量/女性の所要量)

・0~5か月…-g/-g
・6~11か月…-g/-g
・1~2歳…4g未満/4g未満
・3~5歳…5g未満/5g未満
・6~7歳…6g未満/6g未満
・8~9歳…7g未満/7g未満
・10~11歳…8g未満/7.5g未満
・12~14歳…9g未満/7.5g未満
・15~17歳…9g未満/7.5g未満
・18~29歳…9g未満/7.5g未満
・30~49歳…9g未満/7.5g未満
・50~69歳…9g未満/7.5g未満
・70歳以上…9g未満/7.5g未満


(妊娠中、授乳中は上記の所要量に下の数値を加える)

・妊娠中…+0g
・授乳中…+0g


ナトリウム(食塩相当量)が多い食品の1~100位を掲載。(含有量は100g当たり)

・食塩…99.1g
・精製塩…99.1g
・並塩…96.5g
・昆布茶…48.3g
・固形コンソメ…43.2g
・顆粒風味調味料…40.6g
・カットわかめ…24.1g
・梅の梅干しの塩漬け…22.1g
・即席味噌の粉末タイプ…20.6g
・アミの塩辛…19.8g
・梅の梅漬の塩漬け…19.3g
・蟹(カニ)のがん漬…19.1g
・スケトウダラのすきみだら…18.8g
・塩昆布…18g
・豆板醤…17.8g
・ベーキングパウダー…17.3g
・乾燥わかめの素干し…16.8g
・薄口しょうゆ…16g
・白鮭のめふん…14.7g
・濃い口しょうゆ…14.5g
・寺納豆…14.2g
・白醤油…14.2g
・ザーサイの漬物…13.7g
・鮎のうるか…13g
・溜り醤油(たまり醤油)…13g
・米味噌の赤色辛みそ…13g
・かつおの塩辛…12.7g
・再仕込み醤油…12.4g
・米味噌の淡色辛みそ…12.4g
・ヒトエグサの素干し…11.4g
・かき油…11.4g
・みそ漬け…11.2g
・刻み昆布…10.9g
・豆味噌…10.9g
・麦味噌…10.7g
・カレールー…10.7g
・ハヤシライスルー…10.7g
・あおさの素干し…9.9g
・乾燥わかめの板わかめ…9.9g
・ニシンの燻製…9.9g
・めんつゆの三倍濃厚…9.9g
・即席味噌のペーストタイプ…9.7g
・青のりの素干し…8.6g
・桜えびの煮干し…8.6g
・粒ウニ…8.4g
・ウスターソース…8.4g
・梅の梅びしお…7.9g
・茎わかめの湯通し塩蔵の塩抜き…7.9g
・削り節佃煮…7.9g
・梅の梅干しの調味漬…7.6g
・がごめ昆布の素干し…7.6g
・なが昆布の素干し…7.6g
・みついし昆布の素干し…7.6g
・昆布の佃煮…7.4g
・アサリの佃煮…7.4g
・鮑の干し…7.4g
・ドレッシングタイプ和風調味料…7.4g
・辛子(カラシ)の練り…7.4g
・しょうがの酢漬け…7.1g
・ヤマゴボウのみそ漬け…7.1g
・真昆布の素干し…7.1g
・いかなごの煮干し…7.1g
・蛤の佃煮…7.1g
・練りウニ…7.1g
・コーンクリームスープの粉末タイプ…7.1g
・インスタントラーメンの非油揚げ…6.9g
・和風インスタントラーメンの油揚げ…6.9g
・中華風カップラーメンの油揚げ…6.9g
・中華風カップラーメンの非油揚げ…6.9g
・かぶのぬかみそ漬けの根の皮むき…6.9g
・梅の梅漬の調味漬…6.9g
・りしり昆布の素干し…6.9g
・ふのりの素干し…6.9g
・さきいか…6.9g
・イカの塩辛…6.9g
・アミの佃煮…6.9g
・こうじ漬け…6.6g
・しらす干しの半乾燥品…6.6g
・キビナゴの調味干し…6.6g
・鮑の塩辛…6.6g
・インスタントラーメンの油揚げ味付け…6.4g
・帆立貝の貝柱の煮干し…6.4g
・チリパウダー…6.4g
・エゴノリの素干し…6.1g
・えながおに昆布(こんぶ)の素干し…6.1g
・ほそめ昆布の素干し…6.1g
・マイワシの塩いわし…6.1g
・ウマヅラハギの味付け開き干し…6.1g
・イカの燻製…6.1g
・米味噌の甘みそ…6.1g
・わさびの練り…6.1g
・手延そうめん・手延ひやむぎの乾…5.8g
・五斗納豆…5.8g
・高菜漬け…5.8g
・アラメの蒸し干し…5.8g
・ヒトエグサの佃煮…5.8g
・うるめいわしの丸干し…5.8g
・カラフトマスの塩ます…5.8g
・中濃ソース…5.8g
・インスタントラーメンの油揚げ…5.6g

«
 

関連記事一覧

カテゴリ内の記事一覧