アミノ酸の脂肪燃焼効果は本当?

アミノ酸の効果として脂肪を燃焼させる作用があると言われていますが、これが真実なのかどうかを解説します。

最初に結論を言ってしまえば、アミノ酸を飲むだけで脂肪が燃焼するほど甘くはありません。この観点から考えるとアミノ酸の脂肪燃焼効果はゼロになります。しかし、アミノ酸に全くダイエット効果がないわけではありません。

スポーツ選手がアミノ酸を摂取することから脂肪燃焼のイメージが形作られ、これをテレビなどが強調してきたことが、「アミノ酸を摂取すれば脂肪の燃焼に役立つ」という現在の大々的なイメージを形成しました。

しかしアミノ酸というものは意識しなくても普段の食事で自然と摂取できている栄養素です。あなたも肉や魚、あるいは大豆製品を毎日食べているはずです。これらの食品にはたんぱく質が多量に含まれていますが、アミノ酸とはたんぱく質が分解されたものです。

要するに肉や魚、大豆製品からたんぱく質を摂取している限り、アミノ酸は自然と補えていたわけです。

アミノ酸にもし脂肪燃焼効果があったとすれば、普段の食事で摂取しているたんぱく質にも脂肪燃焼効果はあります。この点から、脂肪燃焼効果を期待してあえてアミノ酸を補わなくても、普段の食事でしっかりとたんぱく質を補えばそれで足りるというわけです。

しかしアミノ酸もたんぱく質も、それらを摂取しただけで脂肪が燃焼するような性質の栄養素ではありません。

アミノ酸には直接のダイエット効果があるわけではなく、間接的なダイエット効果を期待して補うべき栄養素です。上に書いた通りアミノ酸を飲んだだけで即脂肪が燃焼するわけではありません。正確にはアミノ酸を摂取することで体にダイエットに有利な変化を引き起こすことが目的なのです。

例えば体重60キロの人がランニングを分速134mで1時間行ったとしましょう。この時の消費カロリーは約500kcalです。もし同じ人がアミノ酸を摂取した直後に同じ運動(ランニングを分速134mで1時間)を行った場合、消費カロリーも全く同じ約500kcalのままです。

こうして考えるとアミノ酸を飲んで運動しても飲まずに運動しても、消費カロリーが全く同じなのでダイエットに対するアミノ酸の影響はゼロです。

しかしアミノ酸の摂取は運動中よりもむしろ運動後に影響します。運動とは体の筋肉を酷使する行為です。激しい運動を行った後に筋肉痛になった経験があなたにもあると思います。アミノ酸は体の筋肉を作る材料なので、運動後の筋肉の修復や発達に影響するのです。

運動後にアミノ酸を補うことにより、酷使して壊れた筋繊維の修復が促されます。このことが体の疲労回復の速度を速めたり、筋肉の発達を促したりすることから次回以降の運動パフォーマンスが向上します。

今回は分速134mのランニングが体の能力的に限界であったとしても、ランニングとアミノ酸の摂取を繰り返すことにより次第に分速134m以上の速度で走れるようになっていきます。

分速134mで走るより分速140mで走る方が消費カロリーは当然多くなります。これがアミノ酸の間接的なダイエット効果です。

もちろん、運動能力が向上したにも関わらず分速134mのままで走れば消費カロリーは同じなので意味がありません。

アミノ酸を製品から摂取するデメリットは摂取できる量の少なさです。肉や魚などのたんぱく質を摂取することでアミノ酸を補う場合は体内で活用されるだけの十分な量を補えますが、アミノ酸製品から補おうとすればあまりにも微量なので体内で有効活用されるほどの量に届きません。

アミノ酸はg単位、数十g単位で摂取して初めて体にとって役に立つ影響を及ぼすのですが、アミノ酸製品に含まれている量はmg単位です。㎎はgの1000分の1なので、2000㎎配合されていてもたった2gに過ぎません。この程度の量では摂取するだけ気休めといった感じです。

アミノ酸飲料は飲みやすいように糖分を加えているため、逆に太ってしまうと言えます。痩せやすい体を築きたいと思って飲んでいるのに、逆に摂取カロリーが過剰になって太る原因になりかねません。

しかも上に書いたようにアミノ酸が2000㎎配合されていたとしてもたった2gに過ぎません。1日に体に必要なアミノ酸の量は最低でも体重1㎏に対して1g以上なので、アミノ酸飲料から数千㎎摂取したところで体への影響はほとんどないと言えます。